こんにちは!本日は脳科学者・茂木健一郎さんの著書『眠れなくなるほど面白い脳の話』の要点をまとめたいと思います。本書は脳科学について分かりやすく解説しており、賢くなりたい方や脳について興味がある方におすすめの一冊です。
地頭の良さとは?
まず「地頭の良さ」の定義から確認しましょう。地頭とは、教育で与えられた知識ではなく、その人本来の頭の良さを指します。特に論理的思考力やコミュニケーション能力を表すことが多いです。
脳科学的には、地頭の良さは脳の「前頭前野」の発達と関係しています。前頭前野は脳の最高中枢であり、以下の機能を司っています:
- やる気・集中力
- 記憶力
- 論理的思考・客観的思考
- 行動や感情のコントロール
- コミュニケーション能力
前頭前野が発達している人は人付き合いが上手で、目先の利益にとらわれず長期的に有利な選択ができる傾向があります。その結果、社会的・経済的地位も高くなりやすいのです。
地頭を鍛える8つの方法
地頭を良くする=前頭前野を鍛えるには、以下の8つの方法が効果的です:
1. 雑音を利用する
あえて雑音がある環境(カフェやリビングなど)で作業や勉強をすることで、集中力が鍛えられます。実際、多くの東大生は幼少期からリビングで勉強していたという話もあります。
2. タイムプレッシャーを活用する
時間を決めてその中で作業を終わらせるようチャレンジすることで、脳に適度な負荷をかけられます。例えば「30分でこの仕事を終わらせる」と決めてタイマーで測りながら作業するなどの方法があります。
3. マインドフルネスを実践する
マインドフルネス(気づき)の実践は前頭前野を鍛える上で特に重要です。瞑想などがオーソドックスな方法として挙げられます。
4. 多様な体験をする
様々な体験をすることで脳の異なる部分に刺激を与えることができます。スポーツ、旅行、美術、映画鑑賞などといった日常とは異なる体験が効果的です。特に「偶有性」(結果が予測できるが完全には予測できない要素)がある体験が脳に良いとされています。例えば:
- 旅行(特に文化の異なる地域への一人旅)
- 人との会話
- ボードゲーム
- スポーツ
これらの体験では、自分で仮説を立てて検証し、その結果に応じて再び考える脳の使い方をするため、脳が鍛えられます。また、偶有性がある経験はドーパミン(やる気や快楽に関わる脳内物質)を分泌しやすいという特徴もあります。
5. 脳に良い栄養を摂る
脳に良い栄養素には以下の5つがあります:
- DHA: 脳の発達を促進し、記憶力・集中力を高める(イワシ・サバなどの青魚、アボカドに含まれる)
- チロシン: ドーパミンの原料(アーモンド、アボカド、バナナ、肉類、チョコレート、コーヒー、卵など)
- トリプトファン: セロトニンの原料(豚肉、牛肉、豆腐、納豆、味噌、ゴマ、乳製品など)
- ポリフェノール: 記憶力や思考力を高める(チョコレート、大豆、緑茶、コーヒー、赤ワイン、そば、玉ねぎなど)
- ビタミンB6: 脳のエネルギー(ブドウ糖)の吸収を助ける(米、じゃがいも、肉類、卵、乳製品など)
積極的に摂りたい食品:全粒穀物、野菜、果物、魚、鶏肉、豆類、ナッツ類、オリーブオイル、コーヒー、お茶 意識して摂りたい食品:キノコ類、海藻類、芋類、卵、ダークチョコレート、質の良いバター 減らすべき食品:お菓子、加工肉、揚げ物、ファストフード
6. 心理的安全状態を作る
心理的安全状態とは、危険・恐怖・不安・未知・曖昧さが少ない状態を指します。反対に、これらが多い「心理的危機状態」だと前頭前野の機能が低下してしまいます。
心理的安全状態を作るには:
- 生活の安定(貯金がある、生活リズムが整っているなど)
- 子供の場合は親からの愛情
- 大人の場合は経験・スキル・人脈・ブレない価値観
7. 脳プラセボ効果を排除する
悪い思い込み(「どうせ無理」「やっても意味ない」など)は脳のパフォーマンスを下げてしまいます。これが「脳プラセボ効果」です。
対策として:
- 自分の良い面や強みを知る
- 好きなこと・得意なことを磨く
- 目標のハードルを適正に設定する
- 周りを気にしすぎず、自分の軸で生きる
著者は「根拠のない自信でもいいから持とう。努力によって実績を作り、根拠のあるものにしていけばいい」と述べています。
8. アハ体験を大切にする
「アハ体験」とは、わからなかったことが突然わかったり、思い出せなかったことを思い出したりする瞬間のことです。この時、創造性に関わる脳回路が強化されると考えられています。
アハ体験を増やすには:
- 何かを忘れた時、すぐにスマホで検索せず、自力で思い出そうとする
- 難しい内容の本でも諦めずに理解しようと努力する
AI時代に必要な能力
AI時代に重宝される能力は以下の通りです:
- コミュニケーション能力
- 想像力・創造力
- 直感力・センス
これらは「人間らしさ」の表れであり、AIに対する人間の強みでもあります。前頭前野を鍛えることで、こうした能力も向上していきます。
まとめ
- 地頭の良さは脳の前頭前野の発達と関係している
- 地頭を鍛える8つの方法を実践することで前頭前野を鍛えられる
- AI時代には人間らしい能力がより重要になる
脳への投資は費用対効果が高く、一生活用できるレバレッジが効くものです。スキルアップ、良質な睡眠、適切な運動と食事など、脳を豊かにする活動に時間や労力を割くことが、人生を豊かにする近道なのかもしれません。
ぜひ本書を手に取って、より詳しい内容をチェックしてみてください!